羊毛断熱材

SA-MO 「サーモウール」は日本の住まいのために誕生しました 「サーモウール」は厳選された良質の羊毛から作られた羊毛断熱材です。羊毛は保温性の非常に優れた自然素材として古くから世界中に知られています。その羊毛をふんだんに使用した「サーモウール」は‘夏涼しく’‘冬暖かい’快適な住まいを実現します。
<開発にあたって>
 わが社の「サーモウール」は、10年程前からある設計事務所との間での構想として持ち上がったものです。その背景には、当時ヨーロッパで使われていた羊毛断熱材をはじめとする自然素材から作られたあらゆる断熱材を取り寄せ、使えると考えられるものすべてを実際の住宅に施工したところ、どれもその性能を十分に発揮するものではなかったという事実がありました。施工性が悪かったり、カタログ通りの調湿性能や断熱性能が無かったりとそれらは皆、行き詰まりを感じるものばかりでした。
 ヨーロッパで高く評価されていた、これらの断熱材が何故使えないのか?原因は湿度でした。日本の気候はヨーロッパに比べ,極端に湿度が高くヨーロッパの断熱材は日本で使用するには湿度保持能力に限界があったのです。この湿度の高さが結露を生み、吸湿性の無い断熱材を施工することにより、壁内結露の原因となって日本の住宅の寿命を著しく縮めてきました。私たちは、この問題の解決なくしては良質の住宅を作ることはできないと開発に着手しました。1996年から日本の住宅で施工しながら、ニュージーランドのメーカーと協力し、改良に改良を重ね、現在の「サーモウール」が生み出されました。
<特 徴>
 「サーモウール」の特徴は、ふっくらとした‘柔らかさ’と間柱の間にしっかりと留まる‘張り’とが両立している点にあります。これは、繊維一本一本にまでこだわった良質な羊毛とホローポリエステル(レンコン状の4穴中空構造を持つポリエステル繊維)を編込むことにより生み出されます。
 この特徴が「サーモウール」の中に空気を均一に閉じ込め「サーモウール」の持つ、
  ・高い断熱性能
  ・優れた水分保持能力(調湿機能)
  ・VOC吸着能力
等の、他に類を見ない特筆すべき機能を生み出しています。
 この編込むという技術により、横方向には誰もが手で簡単に、まっすぐ切り裂くことが可能になり、施工性が著しく向上しています。(間柱にステイプル留めする際裂けてしまわないよう、縦にはカッター等で切らない限り切り裂くことはできません。) 
 また、「サーモウール」は1ロール約11㍍で搬入されます。このことは壁の中で断熱材をつなぐ必要が無いこと、つまり、つなぎ目からのヒートロスを心配する必要が無いことを意味します。窓枠の隙間にも裂いた「サーモウール」をヘラで充填することができ、ヒートロスの無い完全なる断熱が可能となります。

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<結露を防ぐメカニズム> 高温多湿な日本の気候の中、結露を防ぐ断熱材を求め、開発されました「サーモウール」は、軽井沢のような結露のひどい別荘地においても、結露を防ぎ、「夏涼しく、冬暖かい住まい」を作る断熱材として多くの実績を残しています。その理由は「サーモウール」の羊毛の質、独自の編込み製法、VFS(Vapor Flow System)にあります。

1)こだわりの羊毛から生まれた優れた水分保持能力

 「サーモウール」の羊毛は ① 羊毛の長さ(60mm以上) ②羊毛の太さ ③ 羊毛の持つバネ状の張りのある縮れ の3点にこだわった羊毛を使用しています。これにより柔らかでありながら張りのある形状が生まれます。 そして、吸湿能力を高めるために、④表皮の状態にこだわりました。 美しい整った表皮の羊毛を確保するため羊の種類・採取部位まで限定しています。前記のように羊毛を厳選して、ふんわりとたくさんの空気を含みこむ形状を実現した「サーモウール」は他に類をみない、抜群の水分保持を可能にしました。

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2)3次元編込み製法

 「サーモウール」の特徴は空気をたくさん含んだ柔らかさにあります。「サーモウール」の内部にはどこにも空気をブロックする硬い層はありません。溶着等による多層構造の場合、断熱材内部の空気の流れが溶着部分でブロックされてしまい、羊毛の性能が発揮できないだけでなく、溶着部分で結露する場合が少なくないことが開発段階でわかりました。そこで幾度もの試行錯誤の末、開発されたのが3次元編込製法です。「サーモウール」だけのこの技術は豊かな空気を断熱材内部に含みこませることを可能にしました。「サーモウール」が高い断熱・調湿能力を示すもう一つの理由です 。
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3)VFS(Vapor Flow System)

 羊毛は自分の周囲の湿度を調湿しますが、壁の内部から室内全体の空気を調湿するほどの力はありません。たとえ100%のウールを施工しても同様です。そこで開発されたのがVFSです。VFSは4穴ホローポリエステルの表面に、ある特殊な加工をすることで、水蒸気を湿気の高いほうから低いほうへと、すばやく移動させる働きを持たせたハイテク技術です。室内の湿度はVFSにより室内側からすばやくサーモウール内部に取り込まれ、前述1)の厳選されたウールにより調湿されます。(次ページ図1参照)室内湿度が下がるとVFSは、今度は逆に「サーモウール」内部から室内側へ湿気を運びます。その結果ウールは容易に適正湿度まで湿気を放出できるのです。「サーモウール」のポリエステルはウールの性能を最大限発揮させるための考え抜かれた大切な構成要素です。
 「サーモウール」がポリエステルにもこだわる理由がここにあります。
このように、「サーモウール」は1)厳選された羊毛 2)3次元編込製法 3)VFSの3つの要素が共同して働くことにより、室内湿度を50~60%に保とうとする、湿度の高い日本の気候に最適の断熱材なのです。

4)水分を保持しながら、表面が濡れない不思議

ウール9  「サーモウール」は木と同じ、結合水として細胞内部(コルテックス)に水分を保持します。
 表面には、油分が残っていますので、液体状の水分(自由水)は、水滴にしてはじいてしまいます。 そして整ったスケール(表皮:髪の毛でいうキューティクル)の間からは水蒸気が適度に行き来をします。 湿度の高いときは、湿気を細胞内に吸収し、湿度の低い乾燥時には、湿気を細胞内から外へと吐き出し、人に最も快適な湿度に調整し、表面に水分がとどまることはありません。 なぜ、表面が濡れないことが大切なのでしょうか?
 熱伝導率  水:空気=25:1 
水は25倍、空気より熱を通しやすいのです。 壁の中で濡れた状態になると、断熱材はカビ・ダニの原因となるばかりでなく、熱をさえぎるという本来の機能を発揮することも出来なくなってしまいます。 ですから濡れないことが大事なのです。
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サーモウールの特性

断熱性能

「サーモウール」の熱伝導率 :0.0349{kcal/(m・h・℃)}
「サーモウール」の熱貫流抵抗 : 2.86 {(㎡・h・℃)/kcal}
「サーモウール」の熱貫流率 : 0.35{kcal/(㎡・h・℃)}

試験実施機関 財団法人 建材試験センター 受付第03A1651号

「サーモウール」は、断熱材だけで住宅金融公庫の定めるⅡ~Ⅴの地域の基準を満たしています。

調湿性能

「サーモウール」は、周囲の湿度を50~60%に保つという羊毛の働きにより、壁内結露の問題を解決します。湿度の高い時には吸湿し、乾燥時には放湿して室内空間を快適湿度に保ち、ダニやカビ発生を抑制します。
 例えば、40坪の住宅に4人家族が生活した場合、約11リットルの水蒸気が発生し、室温20℃では約5リットルの水分が飽和水量として空気中の留まり、残りの約6リットルの水分が結露することになると考えられます。「サーモウール」は、その羊毛の特性により、結露につながるこの残りの水分を「結合水」として表面を濡らすことなく抱え込むことが可能です。

空気浄化機能

 羊毛に空気清浄機能があることは、古くからよく知られていますが、「サーモウール」のVOC吸着能力は、「財団法人 北里環境科学センター」で実証されています。同センターでの試験において、75mg/?(60ppm)という高濃度のホルムアルデヒドをわずか1時間でほぼ100%吸着という結果を得ています。また、一度吸着されたそれらの汚染物質が、再放出されないことも確かめられています。 ウール10

検査機関 財団法人 北里環境科学センター

耐火性能

 羊毛は、旅客機の床材にも使用されているように、難燃性が高いことで知られてす。「サーモウール」は熱によって発火することはなく、火炎にさらされた場合のみ発火します。つまり、プラスターボード等の壁面が焼け落ちる前に「サーモウール」が発火する事はありません。さらに、羊毛は、タンパク質を主成分としており、炭化するだけで、有毒ガスの発生は有りません。また、「サーモウール」に含まれる、ホローポリエステルは、260℃の高温で溶解するだけで発火したり、有毒ガスを出したりすることはありません。

防虫性能

「サーモウール」は繊維の一本一本に人体や地球環境に負荷を与えない方法で、殺菌、防虫処理がなされています。しかも、その効果は、半永久的に持続しますので、施工後、虫食いの心配をすることはありません。 作業的には従来の断熱材と、大きな違いはありませんが、前述したとおり、横方向には、手で簡単にまっすぐ切り裂くことも出来、施工性に優れた断熱材です。また、今までの断熱材施工時のチクチクした感じは全くなく、健康上何の不安もなく、安全でます。

地球環境への影響

 羊毛は、通常年2回羊が毛を刈られ採取されます。いうまでもなく、羊の毛は、自然に成長するものであり、石油のように有限な資源ではなく、再生し続けるものです。地球資源の枯渇の問題とは無縁であることはもちろん、羊毛が多く利用されることが、草原を守る事になり、地球の生態系を守ることにも繋がっています。さらに、「サーモウール」は、100%リユース、リサイクルが可能です。焼却する際にも有毒ガスを発生することも無く、特別な処理をする必要はありません。「サーモウール」は廃棄の面でも地球にやさしい製品です。

ファーンマーク

ウール10 「シダの葉」をデザインしたこのマークは、それが付けられた製品が、高品質のニュージーランド羊毛を使用していることを示すと同時に、厳しい品質基準に合格したことを示す、権威あるマークです。「サーモウール」は建材では世界で初めてこのマークを取得しました。
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